NV-BS30S修理 第5回〜第2部

2009.9.27

第4回で、「修理成功」と申し上げましたが、暫くラックの一番下で眠っていたり、その後S端子出力用として貸し出していたりしました。
その用も済み、帰って来た訳ですが、その時テスト運用してみたら……、

チラチラノイズ多発&砂嵐

となってしまいました。もうHIC死んだの?と思いましたが、その他にもこのデッキには弱点があるのでした。
PCでも調子が悪くなったら先ず疑えという所が有るじゃないですか。
そう、電源です。ってな訳で第2部に突入ですっ。

1, スイッチング電源のコンデンサ劣化

スイッチング電源メンテナンスにはちょっとしたトラウマがあります。
NV-SB1000Wのキーンという音です。
あれがまた出るのではないか、とドキドキビクビクしながら作業開始です。



今回は兎に角外すネジ、端子は最小限にしました。その関係で外した端子はここだけ。電源に繋がる3本と基盤に繋がるフレキケーブル一本だけです。
コレしか外さないと、電源を固定しているネジにアクセスするのが少し面倒ですが何とか外しました。他のフレキは前回までに言った通り、一部パターンがはがれているフレキケーブルがあるので、これ以上外したくなかったのです。



そして、電源を分離しました。ケーブル挿すコネクタに数字を振って印を付けているのは、どのケーブルをどの向きで入れるのか分かる様にです。
ん?ん?ん?

よく見てください、2次側を。何だか基盤が汚いですね。これはコンデンサが噴いてる為です……。やはり電源はかなり劣化していたようです。
しかも、パッチの線にまで影響していて、一部錆びさせてしまっています。もう少し遅かったら、パッチが切れていたり、ショートして煙が出ていたりしたかもしれません。



全てのコンデンサを抜いた後、写真を撮ってみました。かなり酷い状態だったのがわかるでしょう。
大き目のコンデンサの下等、漏れた液が溜まっていたのが分かります。また、「3」のコネクタの側も相当汚くなっています。ここもかなりの液が漏れて基盤を汚していました。



左側が一次側、右側が二次側で、更に二次側の手前に液漏れの激しかった二本を置いてみました。56μF16Vと120μF16Vです。

2, スイッチング電源メンテナンス

これはコンデンサを買わなければなりませんね。
でもその前に、他のメンテすべき所をやっておきました。メカの掃除やグリスアップなどは第四回までにやりましたので、その時やってなかった事、ピンチローラーのメンテナンスです。



これはメンテナンス後です。今回は紙やすり研磨はやらずに、S-721Hを使い、磨きました。
かなり綺麗になりましたが少しムラが出来てしまったので、外してやるよりも、クリーニングテープを通しながら再生し、ピンチローラーにS-721Hを染み込ませた布を押し付ける、というやり方の方がいいかもしれませんね。

で、本題のコンデンサの交換。

No容量(μF)電圧(V)旧種新コンデンサの詳細備考
C8120250CEX-(1次側)交換せず ※日本ケミコンKXJ(250V)に対応製品有り
C91100NXLX日本ケミコンKMG(1次側)105℃標準品。
C134716NXL日本ケミコンKMG(1次側)105℃標準品。基盤の表裏で番号表記違う。片方はC3、他方はC13。
C185650HFE日本ケミコンKZE超低ESR
C1912016HFQ日本ケミコンLXV低ESR。※ 発注しました。まだ未交換、到着待ち
C2068016HFZニチコンPW(M)低ESR。25V品を購入。
C2133016HFEニチコンPW(M)低ESR。25V品を購入。
C2282010HFZニチコンPW(M)低ESR。25V品を購入
C251050GE東信工業UTWRZ低ESR。
C261006.3HFQ東信工業UTWRZ低ESR。10V品を購入
C271006.3HFQ東信工業UTWRZ低ESR。10V品を購入
C285616HFQ日本ケミコンKZE超低ESR。50V品を購入。

このような構成になっています。まだ、120μF16Vは届いていないのですが、120μF250V以外は全て交換になります。



交換後の写真です。120μF250Vと120μF16V以外は交換していません。120μF16Vは届き次第交換します。

3, 耐久テスト

取りあえず耐久試験をして見ました。チラチラノイズは見事に消えました。そして心配していた「ピーン」といったノイズも発生せず、上手く動いてくれています。

しかし、固定ヘッドの位置がおかしかったのか、テープに僅かに傷が付いてしまいました。その為固定ヘッドの位置を直していたのですが、その作業中に、真ん中のビス(固定ヘッドの前後の位置を調整するビス)が馬鹿になってしまいました。それでも何とか3倍を基準に位置を合わせましたが、これで狂ったらテープバス調整も兼ねてメーカーに出すしかないですね。
同じビスだったら在庫あるでしょうから……
因みに、VHS標準3倍共にOkでしたが、S-VHS標準は砂嵐が入りました。もしかしたらヘッドの汚れかもしれませんね。

次回は120μF16V取り付け&ヘッドクリーニングでどう変わったか、のチェックです。

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