SL-PS70修理 〜完了〜

2006.5.14


1, はじめに

このCDプレーヤーは私が中学生の時から(アンプ、スピーカーと共に)うちにあったものです。その時から今所まで2回引っ越しましたが、1回目の引越しの後少しした位から調子はおかしくなり始めていました。だから、おかしい状態で10年位使っていたわけです。
多分、その1回目の引越しした当時、このオーディオセットは洋間に置いて、なんと暖房の直風を受けるという、今考えてみると信じられない環境下にあった事が原因ではないかと思います。重ねて使っていたんでCDプレーヤーが一番上にあった時期があった事も劣化を早めたんだと思います。

現在の住居になって晴れて私の物になったわけですが、まともに使えないCDプレーヤーは使い難く、カセットデッキがいい物が無かったと言うこともありますが、ダビングの送りに使うCDプレーヤーがまともじゃなかった事もダビング熱を冷ましていたのであります。

折角Pioneer T-1100Sをオーバーホールした事だし、いつかやらねばならないと思っていたこのCDプレーヤーもいい機会だったのでオーバーホールすることにしました。

2, 故障箇所

動作がまともじゃないだけで使えることは使えました。では何処がどうまともじゃないのか。

1, 電源入れてばかりで冷えてる状態ならば正常に動く。
2, 暫く(5分程)CDを再生していると、選曲が効かなくなる(特に後ろのほうの曲)。選曲が効かないので電源を切って冷やすか、もしくは1曲目を再生してSearch機能で目的の曲まで持って行く。
3, 長時間再生すると、CDを入れて再生押しても回転はするがレンズが行ったり来たりする音がするだけで一向に始まらない。こうなると電源を切って冷やすしかなくなる。
4, 出し入れの時、ミャミャミャミャ、と異音を出す。
5, 一応CDから合計曲数、分数などのデータはきちんと拾う。

と言った感じです。だから通しでCDを聞くなら何とかなりますが、選曲を多用する時ははっきり言って使えません。
修理に出した時、2万円と提示し、それを超えたら見積もり、と言う形を取りました。

3, 帰ってまいりました

4月30日に修理に出し、引き取りに行ったのが5月13日。きちんと修理されて帰ってまいりました。まあ、事前にピックアップがあるかどうかは調べておいたのできちんと修理されて来るとは思ってました。

今回の交換部品は以下の通りです。

No型番部品名値段
01SOAD70AKITヒカリピックアップKIT4,700円
02????????スピンドルモーター1,000円
03????????ベルト200円
04SDGD59-2ギヤ200円

以上です。技術料と税金込みで14,700円。まあまあの値段ですね。これなら修理に出しやすいでしょう。そして下にこれら部品の写真を示します。



ギヤがかなり変色していますね。最初は白だったのでしょう。で、ゴムベルト……。あれ程ゴムベルトは使うなと何度言えば……。

で、あれ?何か見た事ある番号。もしや。
SC-D5のCDプレーヤー、SL-D5のピックアップと同じですか??

※ SL-D5はオーバーホール(3回目)したのですが、その後SC-D5を解体してしまったので、実はテストラン1回しかしていません(笑)

で、SL-D5を修理に出した時に一緒にくっついてきた部品を見てみると、全く同じだった!つまり、このキット、代表機種はSL-PS860NK と書かれていますので、SL-PS860NKとSL-PS70とそしてSL-D5は同じピックアップを使っていると言うことになります。
となると、これらの機種の違いはピックアップの拾う能力ではなく、MASHの機能とか有無とか、電源周りとか、その他回路の違いと言うことになりますね。でも、SL-D5より明らかに音はいいぞ (もしかしたらアンプの違いだったのかも、とちょっと自信無くなって来た)。

まあどっちにしろ、この機種は10年も前から読み込みが正常じゃなかったわけだし、SL-D5に至っては読み込み関係で3回も修理に出してる訳だから、ピックアップがヘタリ易いんでしょうね。

4, 紹介



全体写真です。止めねじを外した状態で撮影しました。まあごく普通のCDプレーヤーですが、トレイの下の「MASH」のゴールドエンブレムが目立っています。因みに、MASHは1bitDACで広く採用(SL-CT490-Aは勿論、NV-BX25やNV-BS30Sでも採用、また、NV-BS900にも採用されています)されているもので、Multi Stage Noise sHapingの略で、多段ノイズシェーピング回路です。良く分からないのですが、この機種(達)はMASH初代らしいのです。このエンブレム見るととても高そうなプレーヤーに見えますし、私は高級機だと思っていたのですが、どうやら中級クラスのようです(笑)。



天板を外すとこの通り。この天板自体がNV-FS900T-1100Sと同じ様に防振加工されていて、叩いてもボワンボワンといった感じです。この頃のは中級機でも非常に凝った造りをしています。T-1100Sもそうですが、この真ん中に貼ってあるのは何でしょうか?コレが意外と重たいです。防振加工と合わせてこれがフタのビビリを防いでるんでしょうね。



中身は意外とあっさりしています。これが高級機だとメカの回転を安定させたりする為にギッシリ部品が詰まっていたりしますが、この機種ではこの通りスカスカです。ただ、電源がボタンからダイレクトになっていたり、回路の方は電源、デジタル、Audioとそれぞれ分離されていたりしますし、電源部分ではそれなりに数多くコンデンサが使われています。デジタル部分は空きパターンがあるようです。上位機種ではこの部分にICが入っていたりするのでしょう。
ピックアップは新品なのでピカピカです(笑)。



後ろから見た写真です。メカの下にモーターが見えています。これも新品なのでピカピカですね。CDを再生するたびに高速回転している訳だから負担は確かに凄そうですね。また、前面パネル裏はFL管や操作パネル用の基盤でビッチリです。
後ろに注目しますと、音声出力端子は金メッキされています。金メッキは音質向上の第一歩です。また、デジタル光出力にも対応し、さらにカセットデッキとシンクロさせる為の信号を出力する端子も付いています。RS-TR555も対応していた様ですが、それを知ったのは今年、2006年に入ってからなので時既に遅し。
また、電源ケーブルはメガネ型ではなく、逆挿しが出来ないようになっています。また廉価機種に比べると多少太めに出来ていて、極性表示もあります。一応、後ろの正面から撮った写真も付けておきます。フラッシュの光で見にくいですが……





ひっくり返してみました。注目はやはりこのカバーでしょう。このプラスチックのカバーが防振の役割を果たしているのかと思います。また、インシュレーターもいい加減なものではなくきちんとした物です。メカを簡単にする代わりにメカ部分に振動が行かないように気を使った造りになっているんだと思います。
また、中央部分にあるのは、ピックアップレンズ固定用のレバーです。これをLockにしてから持ち運びましょうって事です。因みに帰って来たときにはこのロックの解除の仕方が書かれた紙を本体に巻きつけていました。まあ、私はLock掛けてから修理に出しているので解除の仕方は存じていますが、そういった気配りが大切なんだなあと感じます。

こういった防振加工されている点が、SL-D5との大きな違いではないでしょうか?SC-D5も新品時は15万円程したステレオシステムですが、やはり品質では単品には敵いませんね。

これで快適にCDが聞けるようになりました。まだまだ頑張って動いてもらいたいものです。



戻る