RX-DT77修理 第1回

2015.7.19

1, はじめに

ラジカセ。思い出してみれば、何かいつも自分の隣にあったオーディオ機器だったと思います。気軽に持ち運べ、そしてその場で音楽を提供してくれる、そんな存在であったように思えます。
しかし、いつしかそのような事を忘れてしまい、気付いた時にはラジカセが自分の隣から無くなっていました。いつでも新しいものは手に入れられる、そしていいオーディオがあるからもうラジカセは要らない……。そんな思いがあったのでしょう。その事に気付いたのは、バブルデッキの修理を始めてからでした。

という、プロローグは以前、Victor RCX55の記事を作った時に書いたものですが、このRX-DT77はHard Offではなく、オークションで入手したものでした。

庭作業とかする時に、横で音楽を奏でていてくれればいいなとか、そういう目的で入手したのですが、使うこともなく、棚の上で眠り猫の様に眠っていたものでした。オブジェですねぇ……

転機が訪れたのは、このラジカセを姉が使わせてくれと言って使い始めた事でした。
当然ですが、こういう古い機器を使えばあちこち不都合が出てくるものです。このラジカセも例外ではありませんでした。当然の様に修理を頼まれたわけでw

その不都合とは……
CDが読み込まなくなる

ああ、だからCD部分の不調は嫌なんだ……。レーザーピックアップが寿命だったら手の打ちようが無くて終了じゃん。25年も前の機種なんだからとっくに部品供給なんて終了しているだろうし。
まあ、そう思いながらも一応調べる……。

1, CD不調の原因とは……?

調べていたら意外とあっさり情報がヒットしました。いろんな人がこの症状で修理をしていたのですね。

RX-DT***系のフロントローディング機種はサーボ基盤のコンデンサが噴くという……

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本当にこのネタ(コンデンサ)でいささかうんざりしてきますが、逆に言うと、これが解決すれば正常に動く可能性が高い、という訳ですね。
という訳で、サーボ基盤を目指します。

2, サーボ基盤のコンデンサ交換

ってなわけでぶんかーい!



ハッハ〜こんな感じィ〜。
ここまでバラスのに30分もあれば出来ます。RCX55と違って、種類毎にブロック化されているので、外したりするコネクタ等も最小限です。
色々な所で言われていますが、松下電器製は直し易い。←これ重要

で、CDプレーヤー部分を取り出しました。まあばらした状態から見れば、どれがCDプレーヤーかはすぐにわかるかと思いますが、これがアップ写真です。



ハイ、普通のCDプレーヤーですね。何の変哲もありません。



掃除しました。掃除前とかなり色が違いますが、写真の撮り方で色が変わっただけなので、実際はここまで変化していません。

サーボ基盤はこの裏にあるのですが、その前に外側を洗っておく事にします。



〜「バブルラジカセを愉しむ頁」より引用〜
風呂場に持ち込む。
このラジカセも、まさかその一生の中で風呂に入れてもらえるとは思わなかったことでしょう。
そして、自分が棄てられて雨に打たれるとも、思わなかったことでしょう。
そんな今までの半生を、風呂場で私がザブザブ洗います。

雨に打たれる程汚くなっていませんでしたが、私も同じ様な想いで洗いました。
綺麗に洗っておけば、これが25年も前の製品だとは誰も思わない位のものになります。特にスピーカーネットの内側から埃がどんどん出てきてこれでもかという位でしたが、全て洗い流しました。

そして乾かしている間にサーボ基盤を取り出します。これは、CDプレーヤーの裏側に張り付いている形でくっついています。



なかなかの数のコンデンサがくっついていますね。これが悪さをしているらしいですが、まあ、横にして見ても液漏れらしきものは見当たらないですね。


     ミミ ヽヽヽヽリリノノノノ
    ミ   ,,、,、,、,、,、,、,、、 彡
     l  i''"        i彡
    .| 」   ⌒' '⌒  |
    ,r-/   -・=-, 、-・=- |
    l       ノ( 、_, )ヽ  | そんなの想定の範囲内
    ー'    ノ、__!!_,.、  | 
     ∧     ヽニニソ   l
   /\ヽ           /
 /     ヽ.  `ー--一' ノ/ヽ
/     r‐-‐-‐/⌒ヽ-─''   `、
 ヽ、  |_,|_,|_,h( ̄.ノヽ      ヽ
 ー-ヽノ| `~`".`´ ´"⌒⌒)    ヽ
 ノ^ //人  入_ノ´~ ̄      )


大体液漏れしているという情報があって、外から見て解るくらい漏れていたらCD認識しない処か基盤を破損している可能性が高いです。
って訳で、コンデンサを外します。



ハイ、見ての通り、噴いていますね。

特に酷いのを手前に持ってきました。100μF6.3V1本と1μF50V4本の計5本、これの液漏れが酷く、他のも大なり小なり液漏れしていました。これではサーボ基盤、要は自動制御基板が自動制御出来ない状態になっています。



コンデンサを外した後のサーボ基盤。この後アルコールのついた綿棒で綺麗に掃除しておきました。

そして、いつもの様にコンデンサ表を拵えて買い出しです。

No容量(μF)電圧備考
C701226.3
C702476.3
C7031006.3
C7134.716BPタイプ
C714150
C71810010
C722476.3
C727476.3
C7313306.3
C7381006.3
C73*1006.3「No」の1の位が隠れていて読み取り不可能
C7433306.3
C7461006.3
C748150
C753150
C754150

表を見ればわかりますが、C713は両極性です。間違えても通常品を付けないように。
まあ、コンデンサ本体に「BP」の刻印がしてありますので、サイズを見るときに見落とさないのと、両極性はコンデンサの色が違うから解りやすいかとは思います。



ハイ、新しいコンデンサを基盤に取り付けました。出来るだけ小型のコンデンサを揃えると綺麗に収まりますが、全てを揃えるのは無理だったので、標準サイズのものを買いました。また、6.3Vのものは無かったので、16Vとかで揃えました。但しプレーヤーの可動部と干渉するので倒してつけました。人によっては裏側につける人もいるようです。その場合は極性に気を付けないといけません。表面の極性マークと照らし合わせてよく確認してからやらないとコンデンサ破裂させて基盤ご臨終になりかねません。

3, その他

サーボ基盤のメンテナンスが終わったので、あとは元に戻すだけですが、せっかく外側を洗ったので、中側も綺麗にしておきたいものです。
戻す過程でカセットデッキのピンチローラー等を綿棒で綺麗にしたりしました。



綿棒だけでこの量。

そして組んでみてテストしました。CDの読み込みは今までの読み込まない状況が嘘の様に、

嘘の様に一瞬で読み込んだ!



そしてテスト再生。カセットデッキをやってる時の写真ですが、上記の様にCDは一瞬で読み込み快調に再生したのであります。そして、姉へ再び引き渡したのです……

が!

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