NV-HV61修理 第1回

2009.9.17


修理記事自体久し振りですが、決してVTR修理から足を洗ったわけではないので、これからもよろしくお願いします。

今回は、ウチにあるNV-HV61という機種です。
ウチのメインビデオは以下の様に移り変わって行った事が最近分かりました。括弧内は同時に使っていたセカンドマシンです。

NV-6000→NV-870HD→NV-FS70(NV-F70?)→NV-BS900(NV-FS800)→NV-BS30S(NV-BS30H)→ビクターの何だか分からない安物→NV-HV61

一方で私のマシンはといいますと、

NV-FS70(上記のお下がり)→3年位の空白期間→NV-BS30S(上記のとは別の物で修理記事003のモノです)→NV-FS900(NV-BX25&NB-BS30S(FS900が入った事によりセカンドへ))

よく見れば分かりますが、ウチのメインマシンはビクターのもの以降は急に陳腐化しているのであります。極めつけは姉のお下がりのNV-HV61という訳です。

で、このNV-HV61が壊れました。そのときの状況は、こういう事らしいです。

a, 何らかの原因でテープが詰まった。
b, TVの上にデッキを載せていて何らかの拍子で落下した。
c, 詰まったテープを無理矢理引っ張り出した。

最初のうちは直す気は無かったので暫く放置していたのですが、テレビの移動をするという事だったのでそれの手伝いをするついでに直す事にしました。
一万円ちょっとの物だったので失敗したら失敗したでいいや、という感じで。

1, R4メカ(Vメカ)



2004年の作品です。外見はこんな感じです。重厚感は全くありませんし、叩いたらバコンバコンと響きますし、蹴っ飛ばしたら歪みそうです。扉が飛び出しているのは無理矢理テープを取り出した為に、扉を止めている部品が破損した為です。



はいっ、開けてみました。横のビス2本と後ろの左右2本の合計4本とかなり少ないです。で、中の構造は……。
見ての通りで、何だか情けない構造です。
電源基盤、いや、電源部分と言った方がいいでしょうか。その部分だけは辛うじて分かりますが、他は何処が何の部分を担ってるのかパッと見では分かりません



参考までにNV-FS900の写真を……。とても同じメーカーの物とは思えませんね。勿論廉価版と高級機の差は有りますが、FS900と同時に出た廉価版もここまでは無いにしろかなり密度の高い構造にはなっていたようです。僅か15年でここまで退化してしまいました。

で、HV61の構造は鉄板プレスメカであるR4メカ、別名Vメカです。

ついでに紹介するとメカの変遷は以下の通りです。間違い等指摘があればよろしくお願いします。m(_ _)m

初代Gメカ→ITメカ(Gメカ改良版)→新快速メカ(Gメカ最終進化系)→(ITメカに戻る)→Kメカ→Zメカ→R4メカ(Vメカ)

で、話を戻して、責任病巣の特定です。まず、状況c, から、カセコンの位相が狂ってしまった事は容易に想像できます。
とりあえず確認のため、テープを入れてみるとテープが吸い込まれた後、ローディング状態にならずに数秒ゆっくりと巻き戻された後吐き出されてしまいます。位相狂い確定 です。



カセコン付近の拡大画像です。正しい状態が無いと分かりませんが少し挿入状態になってしまっています。
写真の右側と下側の抜けた状態で斜めに刺さっている黒いビス2本(撮影の為にその状態にしました)と写真には写っていませんが背面の赤い長いビスの合計3本で止まっています。
因みに顔はツメだけで止まっています。ビスの使用は無し

そしてカセコンの位相がずれていると判断したのでその3本のビスを外してメカを分離し、カセコンも開放しました。



○| ̄|_
アルミダイキャストシャーシ+ギヤ+コクドベルト駆動と言うのは本当に過去の話になってしまいました。Zメカから鉄板シャーシ+ゴムベルト駆動になりましたが、その後のR4(V)メカでもアルミダイキャスト+ギヤ+コクドベルトに戻る事はありませんでした。
しかも、鬼の様に部品点数(特にギヤ)が少ないっ!

で、気を取り直して、赤丸部分は位相を合わせる穴であります。GメカやKメカの時と同様、この穴から中を見て下(床)が見える様に合わせます。
玩具の鉄砲みたいな形をした部品、形がKメカのメインレバーに似ているので、便宜上メインレバーと言う事にします。
で、このメインレバーにも丸がして有りますが、この溝の部分に、状態が刻印してあります。この位置(左一杯状態)だと、イジェクト状態に当たります。他に、ローディング、プレイ、リバースと有ります。逆に右一杯になるとSと刻印されていますが、これがどの状態を指すのかは分かりませんでした。
つまり、位相はイジェクト状態で合わせるという事です。
どうやらシャーシ側の位相は狂っていなかったようです。



R4メカ(Vメカ)の場合はモードスイッチはシャーシではなく、メイン基盤についていました。端子がすすけていますね。
何だか態々矢印が付いているので、ここに合わせると位相が合うと判断しました。



カセコンが無い状態で撮影してみました。ブレーキはかなり稼働時間が多かった割には減っていないようです。それにしても効きが悪いですが……パッドの面積はかなり広いようですが見掛け倒し?



最初、ローディング状態(Gメカがハーフローディングで位相を合わせるため、その癖で)で位相を合わせると思ったのでカセコンの騙しゾーンを探しました。R4メカ(Vメカ)のカセコンの場合はこのツメがテープに押され、騙しゾーンに行かないようになっています。
カセコンを組み込んだ後テストする時はこのツメを矢印方向に押してやらないと騙しゾーンに入ってしまい、それ以上奥に入らず動かなくなります。



カセコンを組み込みました。止めてあるネジは手前側左右2本です。GメカやKメカの半分で、ネジの数が激減です。奥側は、はめ込みなのでGメカやKメカに比べると組み込みが面倒です。



かなりピンボケになってしまいましたが、カセコンの位相です。
カセコン側の穴から見て、カセコン側の出っ張りとシャーシ側の印が合うように互いのギヤを合わせます。



位相を合わせたのでメカを戻しますが、モードスイッチの端子が煤けていたので拭いて綺麗にしておきました。勿論矢印に出っ張りを合わせて置きました。

2, 責任病巣その2

位相がばっちり合ったので、テープを入れてみると、一回は普通に動作するのですが、取り出せなくなりました。そしてエラーコードF04を表示してエマージェンシーモードに入り電源が切れてしまいます
あとは何度電源を入れなおしてもメカがうなった後、F04を表示してエマージェンシーモードに入り終わり

何十回か電源を入れると運がよいと取り出せ、入れ直すと再生出来るので位相が間違えてるという事はありません。やっぱりその後取り出せなくなり、F04+電源落ちになりますが……。

もう一度メカを開放し、ローディングモーター(?)を外し手で回してみると……、
やたら固くてローディングポストが戻らない
つまり、何かが引っかかっているという事です。



全部をくまなく見たら、このガイドポスト左(?)が原因だと分かりました。ガイドポスト左は、G&Kメカの様に独立して動くものではなく、バネが付いているだけです。ローディングポストが上がればバネの力で上がり、ローディングポストが下がれば押されて一緒に下がるという何とも香ばしい部品と成り下がっています。
写真では直した後ですが、この赤い矢印の部分が曲がっていて、イジェクト時にローディングポストが下がる時に潜ってしまい、引っかかって戻れなくなってしまった、という事です。その為、押したり引いたりして何度かローディングポストを戻そうと試みますが、それが出来ずにF04となる訳です。

最初、メインレバーかメインカムもしくは他の何かの部品の劣化かと思っちゃいました。

で、ラジオペンチで曲げを直したら見事に解消。おそらく状況a, の責任病巣はガイドポスト左でしょう。分からないよ、コレ。



再生テストです。一応再生はされました。但し、修理中にヘッドを汚してしまったのか、U11のエラーを出し、画面はブルースクリーンで「ヘッドの掃除をして下さい」のメッセージを出します。そして5分位したら止まります。音声は普通に出ました。

一応これで修理は終わりですが、ヘッドをクリーナーを持っていないのでヘッドクリーニングしたら画像がきちんと出るのかどうか、の確認は出来ませんでした。よって修理の進捗は90%としました。コレが出来て、きちんと画像が出れば100%になります。

3, その他



ローディングポストが戻らない原因が分からずに色々やってる時、メカをメイン基盤につけた状態で、モーターを外し、手でギヤを回し、メインレバーをドライバーで押して強引にローディングポストを戻そうとしたのですが、
手が滑ってドライバーで部品を吹っ飛ばしてしまった!

その被害者がこの写真のスイッチで、写真は直した後の物です。手前の同じもの3つをよく見れば分かりますが、金属の板をはみ出したプラスチックでまるでリベットの様にとめている事が分かります。しかし、被害者のスイッチはそれが無いですよね?つまり金属の板は直ぐに外れてしまいます。(直ぐに見つかったので良かったです)
それでは使えないので、とりあえず両面テープで止めました。スイッチの棒が飛び出す中央はベルトの穴あけで穴を開けて棒を通し、後はベースに接着して終わり。両面テープの粘着力が無くなったらそこまでですが……。
ここは録画ボタンに当たるので、まあ最悪、録画はリモコンで、という風に出来ます。もっとも、瞬間接着剤やエポキシでとめればいいのですが(勿論ほんの少しの量で)。



扉無しでも良かったのですが、それだとカッコ悪いし、埃が入り放題だしいい事ありません。しかし、扉を止めている部分は状況c, (テープを無理矢理取り出された事)で吹っ飛ばされてしまったので、扉を直す事は出来ません。
仕方ないのでホッチキスで紙を止める要領で直す事にしました。直した後の状態がこの写真です。
コンデンサの足を熱して顔に挿した、という事です。表側に1〜3ミリ程飛び出したので、飛び出た分は曲げて抜けないようにしました。
表側も多少汚くなりましたがこれで扉が直りました。

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