F-777修理 第1回
2021.1.17
Technics ST-G99Vを手放してから、オークションにてPioneerのFMチューナーF-777を入手しましたが、兎に角この機種の良い所は、
甲 FMアンテナ端子がA, Bと2つある事。
乙 チャンネルメモリが10×4=40有る事。但し、FMとAMの区別は無い(FMとAM交互に登録しても良い)
アンテナ端子が1本しか無ければ、例えば、東京都23区西部や市部に於いてFM東京とFM富士を両方受信しようと思ったらアンテナを回すかアンテナを2台立てた場合アンテナを差し替えて受信するないしはアンテナ切り替えスイッチを用意するかしないとならないですが、アンテナ端子が2つ有るため逆向きのアンテナをA,Bに挿し、しかも周波数を登録する時にどちらのアンテナを使用するかまで選べますのでとても有り難い機能です。
まあ古い機種なのでワイドFMには対応しておりませんので76.1MHz〜90.0MHzまでしか聴けませんが、それでもFMで20〜30局登録し、AMは8局登録してたまに気が向いた時に聴いてたりしていました。
まあもっぱらコミュニティFMを聴いたり、どれだけ入感するかを調べたりするのを楽しんでいたというのがメインですがw。
でも困った事が起きました。それは、音がブツブツ途切れるようになるというエラーが発生するようになった事です。
1, 症状
いつもの様にエフエム世田谷を聴くと、40dBとまあまあ立地的に不利であるにもかかわらず良い入感してくれますが、音が途切れます。これではとても番組を楽しむ事は出来ません。しかも、右の音が小さいです。
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■ 検波部は Pioneer PA5008 を使った クォードラチュア検波 です。
■ クォードラチュア検波は他の方式に比べて経年変化しやすいです。 よって、現在中古市場にある F-777 / F-757 は全て調整ズレしていると思われます。
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と、ST-G99Vを差し上げた方のHPに紹介されています。これを調整してあげればどうやら直りそうです。しかし私はこの方の様にオシロスコープや発振器を持っていません。その為、
実は数年間放置されていました。また放置ですか……
その後、色々調べていたら、テスターのみで調整されていた方がいらっしゃったので、私もテスターなら持っていますのでやってみる事にしました。お金も掛からないしダメージゼロです。
ネットッテベンリデスネ……
2, その前に出力端子の再ハンダ
右の音が小さい件ですが、アンプにつないである状態で、ケーブルを持って少し揺するとバランスが正常になったりしました。
これってもしかしてハンダクラック???
と思ったので、ハンダ部分を疑ってみる事にしました。

高級感はST-G99Vに劣りますがなかなか良い見た目だと思います。

蓋を開けますとこの様に基板が見えます。左にトランスがありますね。
で、基板を外して赤丸で囲った部分を目指します。

基板を分離して、出力端子のハンダを拡大してみます。作業している時は特に何も感じませんでしたが、改めて(HPの為に編集中に)見てみるとハンダクラックしてるっぽい?
蛇足ですが、端子が金メッキでない所が惜しいですね。

まあ元々ハンダを付け直すつもりで基板を外したので、端子を分離する事にしました。そしてこういう時のお約束、端子磨きもしておきました。

そして基板の方もいつもの様にアルコール(エタノール)を付けた綿棒で綺麗にしておきました。

後は元に戻すだけの簡単な作業です。

アンテナ端子も磨きにくかったですができるだけ綺麗にしておきました。
左右の音量バランスは改善されました。まあアンプの調子も悪かったしそのせいもあったかも分かりませんね。
3, 同調点の調整
さて、ここからが本題です。FM世田谷の受信が不安定なままだと何の意味も無いので、ここから同調点の調整に入ります。

この写真ではFM横浜を受信しています。
FM横浜なんて神奈川県の大山山頂から発信しているので強電界なのでは?その割には受信が弱い様な……?
と思われた方いらっしゃったらなかなか鋭いです。本題とは関係ないですが、理由は二つあります。
このチューナーはA,Bで逆方向2本のアンテナを扱う事が出来る事を最初に申し上げましたが、私は現在5素子八木1本でしか受信していません。それは東京方面(正確に言うとFM世田谷発信地の、世田谷ビジネススクエア)に向けていますので大山は正反対の方向になりますのでFM横浜の入感は弱くなります。
もう一つは、FM世田谷は垂直偏波につき垂直偏波の立て方をしています。その為、水平偏波のFM横浜の入感は弱くなります。
これだけ不利な条件が揃っているのにそれでも入ってくるって流石強電界としか言いようがありませんw。同じ方向から来るFM相模は入ってきません。
水平偏波と垂直偏波のアンテナ設置の仕方の違いはここを参照して下さい
話が逸れましたが、FM横浜はブツブツ切れる事無く受信していました。しかしながら本命のFM世田谷、そしてFM東京はブツブツ切れていました。
そこで同調点の調整に入ります。
ひろさんのHPでF-777の同調点の調整は、
83MHz使用
T201フロントコア
TP201〜TP202間電圧=0V (100mVは許容)
という条件でやっていましたので、テスターで調整された方の方でやり方を見ながらまねてみる事にします。

テスターを持ってきた状態の写真です。ひろさんは83MHzの条件でやっていましたが、まあFM世田谷は83.4MHzと周波数も近いので基準にしても良いでしょうww。この写真を撮った瞬間、FM世田谷の音声が切れましたが、入感が無いのが分かりますね。

ちょっとボケましたがTP201にテスターのプラス、TP202にテスターのマイナスを当てて電圧を見ます。

0.36V=360mV
これじゃあ駄目ですね、ブツブツ切れるのも当然というものです。

六角レンチを使ってT201フロントコアの調整を行います。

受信を聴きながら調整していましたが、電圧が小さくなって行くに従って受信も安定してきて0.1V=100mVを切る時にはブツブツ切れるのも無くなりました。そして写真の様に0.00Vまで合わせる事が出来ました!

これで完璧にFM世田谷やFM東京を受信する事が出来る様になりました。
しかしまあこれでメーカーに修理に出しても、下手するとICが無いために修理出来ませんでした、と言って返されてしまう事も有るんですよね。調整だけで直るのに調整してくれないというのは如何なものかと思いました。
まあお陰でF-777を入手する事になり、さらには今回自分で調整出来た訳なので、まいっか。
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