コラム004
TDKオーディオカセットテープ SA を購入しました その2(録音編)

2007.6.10

TDKオーディオカセットテープSA。前回は外観の比較をしてみましたが、今回は録音編という事で実際に録音をして比較してみました。以下が条件です。

使用カセットテープTDKマーケッティングで購入したオーストラリア向けSA(New SA)
TDKマーケティングで購入したアメリカ向けSA(Old SA)
TDKマーケティングで購入したMA-EX
購入先不明現行AE
使用カセットデッキPioneer T-1100S
BIAS調整FLAT Systemを使用
ドルビーNR全てBを使用
録音音楽SA:Tom Jones & Jools Holland Hammersmith Palais
MA-EX:東京少年/原っぱの真ん中で
AE:東京少年/ジョギングシンガー

この表の通り完全に同じ条件ではない(曲が)ので単純にこの結果で単純に比較は出来ませんが参考になれば幸いです。
なお、Tom Jones & Jools Holland Hammersmith Palaisは、元々ネット(BBC公式サイト)で配信されていたのを録音したものなので、ハイ落ちしています。圧縮音源の可能性が高いので恐らく15kHz以上の音は削られていると思います(それでもEQ580Aで16kHzのスライダを上下させると音質変わりましたが)。

1, New SA



BIASは16段階表示で、左から8番目がセンターです。
■■■■■■■□■■■■■■■■ ←この位置

今回購入したNew SAはBIASはFLAT Systemを使うと浅めに掛かるようです。3回やってこの位置に2回、この位置より左(浅い方向)に1回という結果になりました。シュリンクにある周波数特性(-20dB)の図を見るとハイ上がりの特性になっていたので深く掛かるかと思っていましたが、そうではないようです。



録音レベルの写真です。レベルの読み方はエクスパンドレンジ(拡大レンジ)になっていますので、
-∞ -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1ドルビーマーク <0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7 +8
です。因みに私はエクスパンドレンジ常用で、レベルの低い部分がある曲を録音又は再生する時にワイドレンジ(通常レンジ)にする、といった使い方をしています。

録音レベルはBIASが浅めになったという事で慎重に合わせ、テープ全体で+6に1回か2回。大体は+5以内という範囲に収めました。歪みは殆ど無かったですが、一番最初の司会(?)の息の音が多少歪んだ感じです。そのあとのJoolsの声の時はそのような事はありませんでしたが。
このソースの場合は先に書いていた通り、高域が削られている上にBASSの音がエレキではなくウッドベースなので低域が豊かでどちらかというとハイポジジョンが苦手とする音質かと思います。ARの様に低域MOL特性の良いテープの方が向いているのかと思いましたが、SAでも低域が歪む事無く録音できました。

2, Old SA



USA仕様のSAのBIASは今回はやや浅めの位置でしたが、その時その時によって微妙に位置が変わっていて、センターに来る時もあります。どちらにしろ、New SAに比べるとBIAS位置は深めに来るようです。
このテープもシュリンクの周波数特性図ではハイ上がりでしたが、センターから浅めに掛かるようです。ただし、僅かに特性図もNew SAとは異なります。



録音レベルに関してはNew SAと殆ど同じ感じです。最初の司会(?)の息の音で多少歪むのも同じでした。このテープでも+5以内ならばそれ程神経質にならずに済みそうです。
NEW SAと同じ物を録音していますが、豊かな低音を鳴らしてくれています。

3, MA-EX



MA-EXの場合はBIASは深めに掛かるようです。この写真では右から4番目の位置に来ています。やはりその時その時によってとかテープによって微妙に違いますが、浅いものでもセンターから右へ2目盛りって感じです。元のテープの周波数特性によってというよりデッキの性格によるものかと思います。
MA-EXのメーカー公表周波数特性は良く分かりませんが、確かフラットだったと思います。



東京少年の曲はアルバムによって全く音質とか違い、このアルバムでは結構強烈な高音を鳴らす曲とかありました。このテープは比較的このデッキを入手してばかりの時に録音したので(2006年3月〜4月頃)あまり追い込めずこの結果となっています。それでも+6は楽々クリアしています。
高域MOLが+0と、ノーマルやハイポジションに比べてかなり高い事もあり、息の音で音が歪むという事はありません。

4, AE



LNタイプの音楽用テープとして現在でも売られていてそれなりに高い評価を受けているAEですが、うえの3つと比較するのは少し酷か、と思いましたが、やってみました。
BIASはこれまたかなり浅めの位置に来ました。



Levelに関しては、やはりLNテープの限界か、この辺より上に持っていくと音が歪んだり、歪まなくても高域が急激にドロップアウトしてしまいました。ここでは+3dBを限界としましたが、とにかく頑張っても+4dBが限界のようです。BIASを深くしてレベルを稼ぐというのもあまり意味がないようでした。
ノーマルポジションの場合、ハイやメタルに比べてBIASの深さが音質に大きく効いてくるのでBIAS深くしてレベルを稼いでしまうと極端な話10kHz以上の音がなくなってしまうといった感じになってしまいます。
AEでよい音を鳴らそうと思ったら+0〜+2dBで我慢する、というのが良いかと思いました。
(ノーマルテープでレベルを稼ぐなら元々MOLの特性の優れるAR、AR-X、HF-ES、HF-pro、X1等を使うといいかと思います)

5, まとめ

テープの特性に関してはテストテープやオシロスコープを使ったりしてその結果を公表しているサイトが沢山ありますので厳密な違いを見たい場合はそちらのサイトの方が良いかと思います。私の場合はテストテープもオシロも持っていないのでこのような感じにしました。逆に実用的なデータで良いのではないかと(笑)。

私はテープに高いレベルで録音する、という目的でテープを選び続けた過去がある(T-1100Sの項目を参照)のでハイポジションのテープをあまり持っていませんでした。当時はハイポジションがノーマルやメタルに比べて低MOL特性だ、とかそういう事は分からず、経験的に知っていたという感じでした。周波数特性のグラフは見ていましたが、その下に小さく書かれた「MOL(315Hz):○○dB」というのは見ていませんでしたから。

当時買っていた頃のハイポジションのテープを色々なHPで調べてみると、確かにハイポジションはMOLが3.5とか高くても4.5。ものによっては2.5dBのものもあり、かなり高いレベルで録音するには向いていない事がわかったのですが、
前回のUSA版や今回入手したSAに関してはSA向けのソースを選ぶ等、頑張れば結構高いレベルの入力が可能という事が分かりました。今回のソースは一般的にはSA向けでないと思われるソースであのような結果を残せたので。

TDKやSONYのテープを多く持っていて、maxellやFuji等はあまり持っていませんでした。某スレに行くまでは。
しかし、色々な情報を集めた結果、それらのテープも溜まってまいりましたので機会を見つけてそれらのテープの特性も同じ様に調べてみたいと思います。

戻る